知っているようで知らない「3R」で循環型社会を目指そう!
環境問題や循環型社会について調べると『3R』(スリーアール)の言葉を目にする機会が多くなります。『3R』は廃棄物の問題や廃棄物による環境負荷を軽減させるための対策を言い、『R』で始まる3つのキーワードの総称です。
さて『3R』とは何を指すのでしょうか。
環境問題に大きく関わる『3R』とは?
『3R』は、Reduce(リデュース)、Reuse(リユース)、Recycle(リサイクル)から成る取り組みです。90年代にその考え方が注目を集めるようになり、2000年の『循環型社会形成推進基本法』の廃棄物処理の優先順位において初めて法制化されました。優先順位は最も望ましい方法から定められています。それぞれの『R』の意味と併せて確認してみましょう。
『3R』のリデュースとは
リデュースは、最も取組み優先順位の高い活動です。ゴミそのものを減らすことや、製造時の資源量を少なくすることが挙げられます。マイバックを持参してビニール袋を使わなかったり、詰め替え用の製品を選ぶアクションもそのひとつ。製造メーカー様の場合は、簡易包装・詰め替え容器を用意したり、製品が長く使える工夫を施すことが想定されます。
『3R』のリユースとは
ゴミとして廃棄せずに繰り返して使うことをリユースと言います。お酒や牛乳のビンの再利用等が身近なリユースです。リサイクルショップあるいはフリマアプリの活用による譲渡もリユースと言えるでしょう。自動車や建設機械の使用済製品を回収して再利用してリビルド品として販売するケースも見られますね。
『3R』のリサイクルとは
リサイクルは新しく製品を作るために資源として再利用します。取組みにはゴミと資源の分別回収への協力が大切です。
分別回収された資源はリサイクル原料材として活用されます。例えば、愛知県犬山市では年間177,720kgのペットボトルと580,370kgのプラスチック製容器包装が日本容器包装リサイクル協会に引き取られ、衣料品の繊維に利用されたり再生樹脂への材料リサイクルが行われています。製品をつくるときにリサイクルしやすいような商品設計にすることも、重要なアクションと言えるでしょう。
リサイクル量の出典:日本容器包装リサイクル協会|2年度のリサイクル実績 愛知県犬山市
SDGsにおける『3R』の位置づけ
当初はあまり一般消費者に馴染みのなかった『3R』ですが、今や多くの方が意識されていると言える状況になりました。
その背景には2016年に決定した『SDGs実施方針』が大きく関わっています。同方針の中で取り上げられている複数の施策に『リサイクル』の文字があり、『3R』が「日本が2030アジェンダの実施にかかる重要な挑戦に取り組むための国家戦略」として位置づけられているのです。
『3R』関連の施策はSDGsの17の目標のうち『12 つくる責任 つかう責任』をターゲットとしていて、以下のような内容になっています。
・循環型社会の構築
循環型社会形成推進基本法に基づき、廃棄物の処理及び清掃に関する法律や、各種リサイクル法に基づく取組を実施しているほか、第三次循環型社会形成推進基本計画(2013 年 5 月閣議決定)において、物質フロー指標(「資源生産性」「循環利用率」「最終処分量」)を、目標を設定する指標として定め、毎年度進捗状況の点検を行う。
・省エネルギー型資源循環システムの構築支援
国内における製品製造プロセスと再資源化プロセスの連携による資源リサイクルの効率化・高度化を図る実証事業等により、省エネルギー型資源循環システム構築支援を行う。
また、最新の『SDGsアクションプラン』では海洋保全・海洋プラスチックゴミの対策が優先課題に掲げられており、プラスチックのリデュース・リユース・リサイクルに焦点があてられています。
出典:日本 持続可能な開発目標(SDGs)実施方針、SDGsアクションプラン
パッケージを通じた『3R』への関わり
SDGs達成に向けて動き出した現在は、一般消費者のみならず事業者も『3R』に配慮した工夫が求められる時代です。
特にプラスチック資源の循環利用は大きな転機を迎えようとしています。
2021年3月9日に『プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律案』が閣議決定され、第204回通常国会に提出されました。
同法案は多様な製品に使用されるプラスチックについて包括的に資源循環体制を強化し、製品設計から廃棄物の処理までに関わる主体でプラスチック資源循環等の取組み(3R+Renewable)を促進するための措置を講じるものです。
基本方針には環境配慮設計の他、ワンウェイプラスチック使用の合理化やプラスチック廃棄物の分別収集、自主回収、再資源化が挙げられていて、2022年4月に施行される見通しのようです。
施行後は梱包をスリムにしたり、分別しやすさを意識した設計だけではなく、自治体と連携した『3R』の仕組みづくりが重要になってくるのかも知れません。
出典:参議院|議案情報
この記事を読んだ人はこんな記事を読んでいます