紙?プラスチック?複合素材のリサイクルマーク表記について
環境負荷を減らすために廃棄物の量を削減することが求められるようになって来ました。廃棄を少なくするには『3R』や『サーキュラーエコノミー』の取り組みが必要です。
ブログ内リンク:知ってる?サーキュラーエコノミーのこと。
その中で消費者が簡単に実践できるものには「ゴミの分別による資源の再利用の促進」が挙げられるでしょう。分別の際に基準となるのが『リサイクルマーク』です。パッケージのデザインを検討したり製作をご担当される機会のある場合は『リサイクルマーク』の表記も意識しなければなりません。
リサイクルマークとは?
そもそも『リサイクルマーク』とは、どのようなものでしょうか?
リサイクルマークは『リサイクル識別表示マーク』を指します。これはゴミを出すときの分別を容易にし、分別収集の促進を目的として表示を行うものです。以下の記事で解説しておりますので、ご参照ください。
ブログ内リンク:こんなにある!表示が義務付けられているマーク ご紹介します
複数の素材の容器包装のリサイクルマークの表示について
プラスチック製容器包装、紙製容器包装などに表示が義務付けられているリサイクルマーク。お菓子の箱や食品の容器など、意識してみると目にする機会は多くあります。しかし、その表示基準については、あまり知られていないかも知れません。
例えば、紙とプラスチックを素材として作られた容器包装の場合は、どのように表記すればよいのでしょうか。
分離が不可能な二つ以上の素材から出来た容器包装を『複合素材』と言いますが、必ずしも使用している素材のすべてのリサイクルマークを表示しなければならないわけではありません。それどころか、表示してしまうと『不適正表示』として指導の対象になるケースもあるのです。
複合素材の容器包装のリサイクルマークの表示
複合素材の容器包装のリサイクルマークの表示には、いくつかのパターンがありますので、ポイントをご紹介します。
- 複合素材では「最も重量比が大きい素材のマーク」を表示すること。
- 上位2種の素材の使用割合が同一の場合に限っては「2種類のリサイクルマーク」を表示すること。
- 異なる素材であっても容易に分離できる場合は各素材のマークが必要となること。
実際の例を参考に、表示するマークを考えてみましょう。
複合素材の容器包装のリサイクルマークの表示の例
(1)「紙:80%、プラスチック:15%、アルミ:5%」の容器包装
→紙のリサイクルマークを表示
(2)「紙:60%、アルミ:40%」の容器包装
→紙のリサイクルマークを表示
(3)「紙:50%、プラスチック:50%」の容器包装
→紙とプラスチックのリサイクルマークを表示
複合素材でも、ひとつの包材に入れるリサイクルマークはひとつ!
例外こそあるものの「複合素材の包材でも、ひとつの包材に表記するリサイクルマークはひとつ」というのが原則です。
リサイクルマークは『容器包装リサイクル法』に基づいて付けられていますが、分別収集の実施については国で統一された計画はなく、各自治体に委ねられています。
とはいえ、効率的な分別収集の必要性はどこの自治体も変わりません。そのため、誰もが素材を判別しやすいよう、リサイクルマークの表示を義務付けているのです。
表示されているマークを基に収集がされますので、明らかにプラスチックが使われている容器包装でも、紙の重量比が大きければ前述の通り紙のリサイクルマークが表示されていますから、紙製容器を使う食料品の製造メーカーや小売業等の製造・利用事業者(特定事業者)がリサイクル費用を負担する形で、リサイクル事業者に委託されてリサイクルが行われることになります。
近年の容器包装では、複数の素材が使われていることが多く、中には素材の識別が難しい商品も存在しています。誤って収集してしまうと、リサイクルが困難になり効率も悪くなるため、リサイクルマークの表記の基準が明確になっているのですね。