デザイン関係のお仕事をされている方にとって、馴染みの深いものに『色指定』があります。お仕事でデザイナーさんとやり取りされている方も耳馴染みがあるかも知れません。また、パッケージ作成を検討されている方も、ロゴの色やキャラクターの色など、指定した色に印刷を施したい場合もあるでしょう。

色指定にはいくつか種類がありますが、通常の印刷物ですと『プロセスカラー』を使うのが一般的です。ところがプロセスカラーが向いていないケースもあり、そうした際に特殊な色を再現するためには『特色インキ』で印刷します。『特色インキ』と言われるものは、とりわけ『DIC』(ディック)と『PANTONE』(パントーン)の使用機会が多くなっています。

しかしながら、この2種類の違いや特徴などまでを理解されている方は、それほどたくさんいらっしゃらないかも知れません。

そこで今回は、パッケージデザイン・製作でも大変関わりの深い『DIC』と『PANTONE』の違いについて取り纏めいたしますので、ぜひご参考になさってくださいね。

『プロセスカラー』と『特色インキ』

そもそもとして『プロセスカラー』と『特色インキ』とは何が違うのかについてご説明していきましょう。

『プロセスカラー』と呼ばれるのは『CMYK』（シアン・マゼンタ・イエロー・ブラック）です。この４色で印刷を行うのが、多くの場面で用いられる一般的な印刷と言えるでしょう。自宅のプリンターなどでも馴染み深い方も多いかも知れませんね。CMYKについては、下記ブログでもご紹介しています。

ブログ内リンク：今更きけないCMYKとは

しかし、プロセスカラーの４色のインキだけでは表現できる色に制限があるのです。パステルカラーや蛍光色、金やパール系の色は得意ではないので、そうしたケースでは『特色インキ』を活用して特色印刷を行い、プロセスカラーのインキが苦手とする色の再現します。

では、特色インキの中でポピュラーな２種類についてご紹介します。

パッケージの『特色』：DICとは

DICは、DIC株式会社（旧　大日本インキ化学工業株式会社）の作る『特色インキ』です。
特色インキとは、色を忠実に再現するために調合したインキを指し、シアン・マゼンタ・イエロー・ブラックのかけ合わせでは再現できないような色のときに使用されます。

そのカラーシステムは国内で広く採用されており、最もスタンダードなのが、DICです。例えば、企業のコーポレートカラーなどの特色はDICを指定して製作されているケースが多く、デザイナーの方や製作される方と色の確認をしたり、指定する際には「DIC○○○」のように色の番号で指定されるのが一般的です。4色のプロセスカラー印刷と相性が良いことから、多くの印刷会社で取り扱いがしやすいメリットも。

しかし日本国内での普及率に比べると、国外での普及率は低く、海外の印刷会社ではあまり利用されていません。海外のデザイナーや企業には伝わらない可能性がありますので、国際的なプロジェクトなどでは次にご紹介する『PANTONE』が活用される傾向にあると言えます。

パッケージの『特色』：PANTONEとは

PANTONEは、アメリカに本社を構えるPANTONEと言う企業の特色インキを指すものです。先ほど触れましたとおり、海外での認知度が高く、PANTONEを採用すると海外の企業や海外の印刷会社との印刷に関するコミュニケーションは図りやすいと言えるでしょう。

カラーバリエーションも豊富ですので、紙の印刷物だけではなくWEBやプロダクトにおいても使用されているなど、幅広い用途で使われています。外資系の企業のコーポレートカラーはPANTONE指定であるのが一般的です。

こちらも特色印刷を指定する時は「PANTONE○○-○○○○」のように番号で指定します。
一方で、DICに比べるとややコストが割高になるほか、デジタル印刷の場合には色の再現性が低くなるケースが見受けられます。

『DIC』と『PANTONE』どちらを選ぶ？

ご紹介したとおりですが、それぞれに異なるメリットがあるのが『DIC』と『PANTONE』です。印刷物によっても得手不得手がありますので、製作やデザインの条件に適した種類を選んでいきたいもの。

なお、紙製パッケージはDICを得意としています。色の指定としては、PANTONE指定でも行えますが、DICの近似値かCMYKに分解した色での印刷となっていまうケースが多く、色の再現性がよくありません。なかなか色のイメージが湧きにくいと思いますので、製作を依頼されるのであれば、デザイナーの方や印刷会社の方に相談しながら進めたいですね。

『特色』印刷もご相談ください！

『特色』について『DIC』と『PANTONE』をご紹介しつつ、2種類のご説明をいたしましたが、これらは紙の印刷だけではなく、パッケージ製作の際にも関わってくる内容になります。

パッケージ製作をご検討されている方で『特色』に関してお悩みやお困りの方がいらっしゃいましたら、お気軽にお問い合わせください！