高級感や差別化を演出!箱の「箔押し」加工。その方法と注意点
パッケージや印刷物の高級感を演出するには、いくつかの方法があります。「箔押し」加工もその一つで、インキの印刷とは異なる質感から成る高級な仕上りが人気です。
そんな箔押し加工を施したパッケージ、印刷の完成形こそ目にする場面はあれど、印刷の方法や箔の種類まで知る機会は多くはないでしょうか?
印刷物の発注などをご担当されている方や、パッケージデザインのご検討をされている方は知識としてお含みおきいただくと活用出来る機会があるかも知れません。
そこで今回は、箔押しにスポットを当てて、注意点を含めた「あれこれ」をご紹介いたします!
高級感のある雰囲気を演出する印刷方法「箔押し」とは
箔押し(箔押し印刷)とは、金箔や銀箔などの箔をプレス機を使う形で熱と圧力を利用して、紙に転写する特殊な印刷方法です。
具体的な加工方法としては、接着層、金属蒸着層、着色層と言った複数の層の構造になっている箔を紙の上に置き、版で圧力をかけながら温熱を加えて紙に手押しするものです。
圧力だけでなく熱も加えることから『ホットスタンプ』とも呼ばれ、名刺やカードに使われる紙のほか、プラスチック、ビニール、革など多様な素材にも加工出来ます。
箔の種類や質感が一般的な印刷と異なる表現になるため、強調したい部分に好んで使われ、印象付けたい部分を箔押し加工にするケースが多くあります。一方で、絵柄や背景を箔押し加工にして、印刷物全体を上質な雰囲気にする目的で採用されることも。
高級感のある「箔押し」印刷のポイント
効果的に上手く活用ししたい箔押し印刷ですが、実際に活用をするにあたって、事前に押さえておくべきポイントがあります。
箔押し印刷のポイント(1):見当ズレを考慮する
箔押し印刷は、印刷機で印刷をした後に別の機械を使って加工します。
印刷済みの用紙に加工を施すことから、温度や湿度の影響を受けた用紙の伸縮などによって、上下左右いずれかの方向に罫線1~2本程度のデザインのズレ(見当ズレ)が発生してしまいます。
印刷をした後、箔押しするまでに用紙が伸縮するため、見当ズレの予防は難しいケースも少なくありません。ですので、印刷と箔押しで見当ズレが発生することを前提としたデザイン上の考慮も必要です。
例えば、印刷部分の箔押し部分を白抜きせず、塗る範囲を広くすること。白くなっていた部分に色を塗り足しして、箔と印刷を重ねればズレが起こっても白い部分が見えにくくなり、デザインに大きな影響が起こりません。
箔押し印刷のポイント(2):ベタには気泡が発生する
隙間がないように塗りつぶされた状態を『ベタ』と言います。広い範囲の『ベタ』があると箔押し加工の見栄えがよくなるので、デザインでの採用をご検討されるケースも多いのではないでしょうか。
しかし、箔面積の広いベタを用いたデザインとする場合には、気泡の発生に注意しなければなりません。箔の面積が広いと箔を用紙に熱で圧着するときに、空気の逃げ場がなくなり、抜けきらない空気が箔と用紙の間に残ってしまうのです。
気泡が発生すると、箔が用紙に密着しなくなってしまいます。事前に仕上がりについてご確認されることをオススメします。
箔押し印刷のポイント(3):凹凸の多い用紙は避ける
用紙の選定をされる際、凹凸の多い用紙は避けるのが無難です。
用紙に凹凸があると特に凹部分に箔が着きにくく、かすれて見えます。
箔押し印刷の上質感・美しい仕上がりが演出出来なくなってしまいますので、凹凸の少ない用紙を選ぶと良いでしょう。
箔押し印刷のポイント(4):箔押し面積のコストを理解する
通常のインキ印刷と比較して訴求面でのメリットの多い箔押し印刷ですが、特殊性がある分、製作コストは高くなります。
箔押しの費用には大別して
「箔押し用の凸版料金」「材料費」「作業費」
から成り、凸版と材料費は箔押しの面積に応じてコストアップしていくのが一般的です。
「製作コストを抑えたいが、箔押し印刷を採用したい」という場合には、大きな範囲ではなく、重要な「ここぞ!」の個所だけに箔押しを行う方法もございます。
高級感や差別化の演出に「箔押し」加工をご活用ください!
商品のパッケージや台紙、あるいはトレーディングカードにも用いられる箔押し。イメージの浮かびやすい『金色の箔』以外にも、色々な種類がありデザインを検討される上での選択肢の幅は広くなっています。
ワンポイント箔押しが施されているだけでも効果的ですし、デザインにも採り入れやすいと言えるでしょう。
この記事をきっかけに印刷自体の特長やポイントを知っていただき、目的に応じた箔押し加工のご活用をご検討されてみてはいかがでしょうか。
箔押しについて疑問やご不明な点がございましたら、お気軽にご相談ください。