2025.05.11
「機能紙」ってどんな紙?特殊紙と機能紙の違いとは?

「紙」と聞くと、メモを書いたり、物を包んだり、何かを拭き取ったりする用途を思い浮かべるかもしれません。
実際、紙の基本的な機能は 「情報記録」 「包み保護」 「拭き取り・吸い取り」 の3つです。
しかし、私たちの身の回りには、それ以上の機能を持った紙が数多く存在しています。
例えば、牛乳パックを思い浮かべてみてください。普通の紙を牛乳に浸すとフニャフニャになってしまいますが、牛乳パックはそうなりません。
これは、紙に特殊なコーティングを施し、耐水性を持たせているからです。
このように、特定の用途に合わせて特殊な加工が施され、新たな機能を持つ紙を 「機能紙」 と呼びます。
今回は、機能紙の種類と特徴、主な用途について詳しくご紹介します。
機能紙の種類と特徴
機能紙の特徴と用途については以下の通りとなっています。
① 耐水紙
特徴
- 表面に水を染み込ませない加工が施されている
- 強度を保ちつつ、水に強い
用途
- 飲料パック(牛乳・ジュース)
- 冷蔵・冷凍食品の包装・ラベル
② 耐油紙
特徴
- 油を通しにくい特殊コーティングを施している
- 紙の質感を保ちつつ、食品の油染みを防ぐ
用途
- フライドポテト・ドーナツなど揚げ物の包装紙
- ファーストフードの敷き紙
③ 濾過紙
特徴
- 多孔質で、水や空気を通しながら不純物をキャッチする
- 水や油との相性がよく、分離・ろ過の用途に適している
用途
- コーヒーフィルター
- 水や空気の濾過フィルター
④ 吸着紙
特徴
- 貼ったり剥がしたりでき、再利用が可能
- のりを使わずにガラスや壁に密着する
用途
- ウインドウステッカー
- 一時的なサインや屋外ポスター
⑤ 耐薬品紙
特徴
- 化学薬品に耐える特殊加工が施されている
- 強い溶剤(シンナー・アセトンなど)を含浸させても破れにくい
用途
- 工業用の拭き取り紙(脱脂・洗浄用)
- 実験室での薬品管理用紙
⑥ 脱臭紙
特徴
- 活性炭や消臭成分を含み、臭いを吸収する
- VOC(揮発性有機化合物)などの除去に効果的
用途
- 冷蔵庫・靴箱の消臭シート
- 建材や家具の消臭フィルター
⑦ 防錆紙
特徴
- 金属を包むことで、空気中の酸素や湿気から守る
- 鉄・銅・アルミなどの錆びを防ぐ
用途
- 自転車・電気製品・建材などの包装
- 工業部品の長期保存用包装紙
特殊紙と機能紙の違いとは?
特殊紙(「特殊紙」とは?印刷用紙いろいろ。)と機能紙はどちらも「特別な加工が施された紙」ですが、目的が異なります。
種類 | 主な目的 | 用途 |
特殊紙 | 意匠性(デザイン・見た目の美しさ) | パッケージ、名刺、パンフレット |
機能紙 | 実用性(特定の機能を付加) | 牛乳パック、耐油紙、濾過紙、防錆紙 |
例えば、高級感のあるパッケージを作るなら「特殊紙」を、食品の包装に適した紙を探しているなら「機能紙」を選ぶとよいでしょう。
まとめ
機能紙は、耐水・耐油・濾過・吸着・耐薬品・脱臭・防錆など、特定の用途に適した特別な機能を持つ紙です。日常生活や産業のあらゆる場面で活用され、私たちの暮らしを支えています。
また、目的に応じて「特殊紙」と「機能紙」を上手に使い分けることで、より魅力的で機能的な製品を作ることが可能になります。
紙の選択一つで、パッケージや製品の価値が大きく変わることもあります。ぜひ、用途に合った最適な紙を選び、活用してみてください!